近藤良平インタビュー

2014年05月05日
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近藤 良平 (こんどう りょうへい)

コンドルズ主宰・振付家・ダンサー

世界20カ国以上で公演を行う学ラン姿のダンス・カンパニー、コンドルズ主宰。NHK「サラリーマンNEO」、「からだであそぼ」内「こんどうさんちのたいそう」、連続テレビ小説「てっぱん」オープニング振付出演。第四回朝日舞台芸術賞寺山修司賞受賞。野田秀樹演出 NODA・MAP「THE BEE」で役者デビュー。桜美林大学、立教大学などで非常勤講師としてダンスの指導にあたる。南米育ち。愛犬家。


kodou近藤良平インタビュー

 

(インタビューの会場となった北九州芸術劇場の事務所は、工場が並ぶ海側が一面窓となっている。その風景を眺めながら、とりとめもなく話し始める近藤さん…)

 

あの工場の煙ってずっと出続けているんだね〜。絶え間なく煙が出ているってすごいね。いつも出ているあの煙が止まったら、心配になっちゃうよね(笑)

北九州ではいろんな所に連れて行ってもらったけど、旦過市場も面白いね。生活に根ざしているというか、営みを感じる。ほかにも、東京だったらすぐに取り壊されて開発が入るような場所が、昔のまま使い方を変えて残ってたり。今日久しぶりに歩いて感じた北九州のこの雰囲気や良さを、どう伝えたらいいのかなって真面目に考えちゃったよ。もちろん僕はここに住んでいるわけじゃないから、良いところだけを見ている部分もあると思うけどね。

 

今回はその北九州で、リバーウォーク北九州のオリジナルダンス「リバダン!」の創作から4回にわたるお披露目まで、一年を通して関わっていただいたわけですが、企業とダンスが繋がることの面白さや可能性について、どのようにお考えですか?

 

リバーウォーク北九州って、ショップの他にも大学や劇場やテレビ局が入っていて、ちょっと個性的だよね。いろんな人が集まることで生じる意外性は複合施設の魅力だと思うし、そこで働く人たちが同じダンスを踊ることで、自然と仲間意識を感じるようになったら面白い。それも、同じ会社のバッジをしているからとかじゃなくて、音楽やダンスを通じて共感し合えたらいいですよね。それをきっかけに絆…とまでは言わなくても、すれ違ったら「やぁ!」と挨拶をかわすくらいの繋がりがもてたらいいな、と思います。

 

「リバダン!」を創作するにあたって、どのようにイメージを膨らませていきましたか?

 

今回は、リバーウォーク北九州というテーマがあったので、ワークショップに参加した方にキーワードを出してもらいながら、みんなで一緒につくっていった感じですね。僕って、結構適当なんですよ(笑)僕ひとりの思い入れでつくるよりも、そこに集まった人と一緒につくりたいと思っています。だから、リバーウォーク北九州の支配人が「紫川のボート」と言ったら、ボートを漕ぐ振付を入れたり(笑)北九州は意外と「出したがり屋」が多くて、明るいノリが印象的でしたね。

 

近藤さんは、ご自身のカンパニー・コンドルズでの作品づくりに加え、テレビや舞台でも活躍されています。一方で今回の「リバダン!」のように地域で作品をつくることも積極的にされていますね。ご自身の活動の中で、地域での作品づくりはどのような位置を占めていますか?

 

作品のつくり方や観せ方は変わるかもしれないけど、僕の中ではコンドルズでの作品づくりも地域での作品づくりも、根本的には変わらないですね。地域だからこうしよう、といった使い分けはありません。基本的には、「一度しかない人生、どう楽しもうかな」ということでしかなかったりします(笑)

 

「リバダン!」で行った、フラッシュモブという手法についてはどうお考えですか?

 

4月にリバーウォーク北九州の10周年記念セレモニーで発表した「リバダン!」が僕にとって最初のフラッシュモブでした。その後、熊本や静岡、岩手などで、モブ的なことをやりたいと立て続けにお話をいただいて、10月にはフェスティバル/トーキョーでモブを行いました。地域で創作する手法として、ここ一年くらいで、急速にフラッシュモブの認知度が上がった印象はあります。モブというと大勢が一カ所に集まって踊るイメージですが、フェスティバル/トーキョーではローカルラジオ局と組んで、ラジオで曲が流れたら、それを聞いて一斉に踊るということをしたんです。後日ツイッターを通じて、その時間様々な場所で踊っていた人がいたことが分かって、モブの可能性を感じましたね。

 

一方で、モブが地域での創作に「使える」と、安易に捉えられる傾向も感じます。モブには作った本人がその場に居なくても成立してしまう危うさがあるし、もし暴力的な事態になったとしても、それを誰がやったのか分からない。つまり責任を引き受ける人がいないようなことも起こりうるわけです。フラッシュモブは、交流のツールとして意味があると思うし、大勢が集まることで生まれるポエティックな要素もある。それに、外で踊ること自体がとても楽しいのでポジティブに捉えていますが、「なぜモブなのか」という意識を持ってやらないと、いずれ大きな問題が起きてモブの手法自体が廃れるのでは、という懸念はありますね。

 

今回のようなプロジェクトを通じて、これまでダンスを意識していなかった人々がダンスと出会うことで、どんな効果が生まれると思いますか?

 

一般の方とのワークショップについて一つ思い出したのですが、以前東京でダンスと映像のワークショップをしたことがあって、踊っているところを動画で撮影して観賞する企画だったのですが、「さぁ、今から撮影するよ!」と言うと、みんな急に気合が入りはじめるんですよね(笑)ワークショプには基本的に本番がないので、身体を動かすことに終始してしまいがちなんですが、「本番的な時間」をつくることで気持ちが盛り上がったり、よい絆が生まれたりするんだと実感しました。

 

あとは、ワークショップや本番ではみんな盛り上がることができるのに、一旦終わって外にでると急に現実に戻ってしまう。そこの穴埋めが大事だと思います。集まって盛り上がるのはできる。大事なのは参加したひとりひとりが、その後、いかにその時間を継続できるか。そのために、積極的にダンスを続けるのもいいし、宴会芸を磨くのもいい。人に編み物を教えるのでもいいと思いますが、人生を楽しむ方法を、自分自身で探す。そのヒントに、ダンスやワークショップがなったら、いいですよね。

 

 

 

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