株式会社スターフライヤー・廣池昭満インタビュー

2015年05月20日
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株式会社スターフライヤー

北九州市に本社を置く地域航空会社。2002年12月17日、ライト兄弟の初飛行から100年目に設立。社名はライトフライヤー号にちなんだもの。事業開始は2006年3月16日、北九州空港と羽田を結ぶ路線を就航。「感動のある航空会社」を事業理念に掲げ、高いホスピタリティときめ細やかなサービスで、既存の航空会社とは異なる独自のビジネスモデルを開拓し続けている。顧客満足度調査において国内航空会社では6年連続日本一。現在5つの路線で1日60便を運航している。


IMG_5060s株式会社スターフライヤー・総務人事部 担当課長

廣池昭満インタビュー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この事業の提案を受けた時の印象はいかがでしたか?

これまでの当社における異業種とのコラボといえば、いわゆる販促キャンペーンが中心。たとえば同じく北九州市に本社を置く石鹸メーカー様とのコラボでは、当社オリジナルパッケージの石鹸をノベルティとして作ってお客様に配布したことがあります。ところが、劇場、しかもダンスとなると、何を目標にしてどうやってコラボすればいいんだろう…、と最初はイメージがつかみ辛い状況でした。これは通常の販促という枠では捉えきれないということで、改めて検討を行った会議の場で昨年度の「リバダン!」の様子を見せていただきました。その後、わっしょい百万夏まつりのパレードへの参加とプロモーションビデオ(以下PV)の制作という具体的な案をいただき、ようやく少しイメージ出来るようになりました。特にわっしょいのパレードは前年度から参加しましたが、初めてだったこともあり、結果的に練り歩くだけに終わってしまいました。今年も参加するなら何か目新しいことをしたいと模索していたので、願ったり叶ったりでした。また、PVのご提案もYouTubeやFacebookで配信することによって、全国的な知名度アップに繋がる期待があり、チャレンジしてみようという流れになりました。

 

もう一つ、社内のコミュニケーションの活性化という課題にも期待するところがありました。当社は航空会社という特質上、パイロットや客室乗務員、整備、グランドスタッフなど様々な専門職が集まった会社です。職種やシフトが異なるとめったに顔を合わせない社員同士もいるくらい。こうしたプロジェクトに取り組めば、必然的に部署の垣根を越えたやりとりが発生します。いろんな職種の人が参加することになりますから、顔見知りも増えるし、活動中の雑談も含めコミュニケーションも活発になる。日々の業務がらみでは成し得ない活き活きとした交流を図っていきたい、という思いもありました。

 

初めての試みでいろいろと難しい面もあったと思いますが、振り返ってみていかがですか?

当社の場合、業務とシフトの都合上、一度に大人数のスタッフを集めることは困難です。そのため、まず社内で「劇場とコラボしてこういうプロジェクトに取り組むことになりました。参加を希望する人は名乗り出てください」と、コアメンバーとして継続的に活動してくれる人を募集しました。結果としてダンス経験者ら、20代を中心にスタッフが10名弱集まってくれたのですが、イメージが伝わりにくかったようで、手を上げてくれた社員も含め、最初は全体的に「一体何をやるんだろう?」という疑問符の方が大きかったように思います。コアメンバーは、その後の康本さんの視察や7月のワークショップに参加。そのワークショップが面白かったと口コミで周りに伝わり、じわじわと浸透していったようです。8月のパレードの時は50人以上の社員が参加してくれました。みんな口々に「楽しかった」「ビシッと決まってかっこよかった」と言っていて。2時間の稽古を含め、かなりの一体感を持てたようでした。

 

PVの撮影は…寒かったですねぇ、12月で気温3度、みぞれ交じりの小雨(苦笑)。しかも、ほぼ1日で撮るという強行軍で。撮影場所も、チェックインカウンターや格納庫、トレーニングセンターなど多岐にわたったので、事務局としては社内・社外含め調整が大変でした。ですがその調整を通して、「かなり大がかりな撮影をするんだな」ということを、各現場の所属長に認識してもらえたようで、協力体制が高まったように思います。撮影も本格的なものでしたので、出演している社員だけでなく周りで見ている社員の関心も高く、「何の撮影?どこかに載るの?」「いつ出来るの?」など何人もに聞かれました。ダンスに参加していなくても好意的に見てくれていることが分かってちょっと安心しました。

 

さらに12月24日に空港でPVのお披露目とフラッシュモブを行うことになったんですが、実はギャラリーの中にはかなり社員が混じってまして(笑)。ダンスは恥ずかしいけれど見には行くよ、という人も多く、それも「そらダン」への興味関心が高まってきた成果かな、と思います。

 

劇場やプロのアーティストを協働して作品づくりをした、という点ではいかがでしたか? 

社員が中心になってお客さまに向けたオリジナル企画を行うことはこれまでもありましたが、プロのアーティストとのコンテンツづくりにこれほど具体的に関わったのは初めてでした。ダンスもPVも想像以上にクオリティの高いものでした。参加した社員だけではなく、他の社員も含めみんなが誇りに思えるコンテンツになったと思います。

 

実は最初のPV撮影プランには、各職種から70人くらいの社員が一堂に集まってきて飛行機の形を作るシーンがありました。これは一応がんばって検討してみたものの、シフトの関係で動員は物理的にムリでして…(苦笑)。そこはプランを変えていただきましたが、そうした場合も私たちが直接アーティストにリクエストするわけではなく、間に必ず劇場の担当者が入ってくださったのでとても有り難かったです。また、私たちは作品づくりに関しては素人ですが、空港のビューポイントなどは熟知しているので、ロケハンではそうした意見やアイデアもだしながら、お互い良いバランスで協働できたんじゃないかと思います。

 

2月に行われた「そらダンをおどろう!ダンスワークショップ」には私も参加させていただきましたが、市民の方々も巻き込んでのこうしたイベントは、私たち単独では厳しく、劇場との協働だから出来たことです。制服を着た職員に一般の参加者の方々が気軽に声をかけてくださって、和やかで一体感があって。私個人としては、演劇や映画などは「観て楽しむ娯楽」であって「自分が参加して楽しむ身近なもの」という認識が全くなかったんです。ダンス経験もなかったですし。それがワークショップには、結構年配の男性や女性も参加しておられる。私自身、一参加者として、純粋に楽しかったです。この楽しさを伝えられたら、「私もやりたい」という輪が広がると思います。これからも「そらダン」を用いて、何かやっていきたいですね、と制作担当の村松さんともお話ししていたところです。

 

今後のプランはありますか?

市民の方々と私たち社員が一緒に「そらダン」を踊る、という企画はぜひまたやりたいですね。劇場と市民の方々とコラボすることで、地域に密着した活動にできるというのは、大きな発見でした。また、こうした活動は、健全な会社のカルチャーを育んでいくための一つのツールになると思います。カルチャーを創るというのは、ブランドづくりと同じですよね。無形のものを育てて行く。無形であるがゆえにイメージしにくいけれど、その分いろんなことが出来るので、私たちも視野を広げていきたいと思います。それがまた、「新しいことにチャレンジする会社」という風土を創ることにもなると思うので。

 

それから、PVの30秒ショートバージョンを2月から機内モニターで流し始めました。これは北九州発着便だけでなく、全国5つの路線のどの便でも見ることが出来ます。スターフライヤーのコンセプトは「感動のあるエアライン」、そして地域に根ざした航空会社であることです。同じく地域に根ざした劇場を目指す北九州芸術劇場とタッグを組んで、感動のあるレパートリー作品を創作したことで、北九州の皆さまに「地元の誇れる会社」として認めていただけたら、と思います。

 

 

 

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